inuksuk （イヌクシュク）

聞き馴染みのない言葉ですが、イヌクシュクは極北に住む先住民の言葉で「人のような」「人の機能をするもの」を意味する道しるべのような存在です。目印が何もない極北のツンドラ地帯で、石を人型のように積み上げたイヌクシュクは、旅のルートや狩猟場などを示すある種のサインとしての役割を持っていました。2006 年に初めてカナダ極北のユーコン準州を訪れて以来、広大な荒野に憧れ毎年のように訪れてきました。その度に極北に暮らす人々の優しさに触れ、いろいろな刺激を受けました。振り返れば、彼らこそがイヌクシュクだったのです。新しいブランドを立ち上げるに当たり、日常に寄り添い、共に未来へ旅立つアイテムを届けたいという思いと感謝の気持ちを込めイヌクシュクと命名しました。

最高の季節へ
途方に暮れてしまうほど大きな風景。たどり着いた高みで見た絶景。パラグライダーを操り空から見た爽快な景色。凍える寒さの中を探し続け出会った野生動物。荒野でひとり待ち続けたオーロラ。人間の力が及ばないほどの大きさ、そして美しさ。圧倒的な自然と絶対的な価値観。
その中では自分の存在が消えてしまいそうな感覚に陥ります。中でも9 月のユーコンは、急速に移り変わる季節の中で、野生動物が冬に向けた準備を始め、鮮やかな紅葉の中を歩き、夜にはオーロラが輝き始める最高の季節です。

YUKON －カリブーを追いかけて－特に季節移動をしながら生きるカリブーに惹かれ、大地を埋め尽くすような大群を追いかけてきました。この地域に生息するカリブーは、夏を北極海沿岸地域の平原で出産、冬は寒さを避け南下して厳しい冬を乗りきります。数十頭から数百頭の群れを作り年一千キロ以上の旅を生涯続けています。

2014 年にはカヤックを使い、先住民の集落オールドクロウまで約340km、3 週間の川旅を行いました。2016 年は水上飛行機をチャーターして北極圏の湖に着水。そこから320km の川旅を行いました。カリブーの群れとの遭遇はワンチャンスしかありませんでしたが、求めてきた瞬間に出会うことができました。それが皆さんをお迎えするショールームの写真です。

“made the way we like it”　－自分が欲しいものを作りたい！－

極北の様々な旅を通して、こんなのが欲しい。こうだったらもっと自分の使い方にフィットする。自分の頭の中には、10 数年分のアイデアが詰まっていました。いつの日から、自分が欲しい物を作りたいと思うようになりました。そして訪れた今回のチャンス・・・2022 年から準備が始まり、2024 年から本格的に製品のためのサンプル制作が始まりました。物作りに関わるのは初めての経験で、まるで初めてユーコンを訪れた時のように、見るもの全てが輝き、興味と好奇心に溢れています。
とにかく作りたい物を片っ端から形にしているので、カテゴリーはさまざまです。ショールームのアイテムは、多くがまだサンプルの段階ですが、手に取って見ていただきアドバイスを頂ければ幸いです。